背伸びして、君とありったけのキスがしたい。



綾人さんの笑った顔が好き。


そんな笑顔を私にくれながら、手を振って帰っていく。





「……はーっ!緊張した!死んじゃいそう!」


マンションのエントランスで一人になった途端、これまでどうにか塞き止めていた不安や緊張が爆発していく。

足の震えも止まらなくて、その場にしゃがみ込んで真っ赤になりっぱなしの顔を両手で覆った。




「でもっ、よかった……っ。綾人さんと、これで終わりにならなくてっ」


どうにか繋ぎ止めることができた、綾人さんとの縁。

けれど、本当の勝負はここからだ。




「これからどうやってメロメロにしていけばいいの?」


私より9つも年上で、いくつもの会社を経営している代表で、お金持ちで、それでいて芸能人やモデル顔負けの容姿とあの顔の良さ。


私が釣り合うところなんて、正直今は1つもない。



「(だからって、諦めないから……っ)」





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