隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 二、三年生が見てるときだけ重たい荷物を持ってるフリをする。 実際にはほとんどをわたしがやっているのだけど、なぜかまりか先輩の手柄になる。 まりか先輩はサボタージュの天才だ。
 その割にこないだのチョコミルクとか、手作りのお菓子とかを突然持ってきて部員の心をわしづかみにしてる。 そして隙あらばうつつを抜かしているみたいだ。 それも不特定多数の人とらしいと、一年部員たちが噂していた。
 そんなまりか先輩を、いまはもういない二年生のマネージャーたちが咎めたそうだけど、まりか先輩を溺愛する二、三年生の男子部員たちに返り討ちにされて、耐えかねて辞めたそうだ。

 誰もいない教室について、わたしは自分の席にペシャッと崩れ落ちる。
 机に頬をくっつけて窓の外を眺めながら思う。

 ……し、しんどい。

 マネージャーという仕事のハードさもだけど、部活に行く度〝ブスな方のマネージャー〟とヒソヒソ揶揄されることもしんどい。
 上級生は、マネージャーはあくまで可愛い存在で、癒して支えることが仕事だと思ってるみたいだ。
 かわいいは正義ってか。
 わたしが可愛かったら、もう少しやりやすかったのかな。

 悲しくなってきて、グスッと洟を啜った。


 その時、ガララと教室後方の扉が開く音がした。


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