隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「ん。 おはよ」


 今日も呑気な空気をまとった元殺し屋くんが、そこにいた。

 その姿にきゅん、と胸が疼く。
 
 ……再会してまだ1ヶ月にも満たない今。

 わたしはまた、この人に恋をしてしまっていた。

 
「……おはよう」


 机に頬をくっつけたまま挨拶を返すと、優成は扉を閉めてこちらに向かって歩いてくる。


「早くね」 

「朝練と思ったらちがった」


 わたしの声、上擦って変になっちゃってないだろうか。

 教室に優成と二人ってだけでわたし、ちょっと舞い上がってる。

 いや、ちょっとじゃないかも。 かなりかも。

 さっきの悲しかった気持ち、どっかいったもん。


「あー、みんないなくて寂しいやつね」


 は、と笑った優成は、わたしの隣の席に鞄を置いて椅子をひく。

 優成はいつも穏やかで、さりげなく優しい。

 いつも余裕そうで、わたしに心を乱されることなんて一切ないように見える。 それがちょっと悔しい。

 それにしても優成はいつもいい匂いがする。 香水使ってるのかな。


「……優成も早いね。 いつもこの時間?」

「うん。 乗り換えの関係ですごい早く着くかすごい遅く着くかの二択で、致し方なく」

「へー」


 優成ん家遠いんだ。 どんな家なんだろう。

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