隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「……レナ?」

「レナさん」

「レナさん……」


 雨の日に項垂れるアンニュイお姉さんを思い浮かべて、さっきまで沸騰しそうに熱くなっていた血がみるみる冷えていく。


 優成、彼女いたの?


 優成は鞄のポケットからスマホを取り出して、そのロック画面をわたしに見せた。


「これ、レナさん」

「……」


 そこにいたのは、毛並みの良い犬だった。


「ワンさんじゃないですか」

「ワンさんだよ」


 この白と黒の賢そうな犬種知ってる。 たしか、ボーダーコリー。


「可愛いね!」

「なに怒ってんの」


 嬉しそうに笑った優成はまたわたしの頭を可愛い可愛い、となでなでする。


「雨の日は散歩行けないから、わかりやすくしょげるんだよなぁ」


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