隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 ……そうだった。 優成はこういう人だった。

 きっと優成は、わたしが現在進行形でドキドキしちゃってるのをしっかりと理解していて、その上でわたしの気持ちを上げて落として上げて、また落として翻弄することを楽しむ超サディスティックマンなのだ。

 まともに相手をすれば体力を根こそぎ持っていかれるってわかっていながらもわたしは、こうして胸のときめきに抗えずに、自ら翻弄されにいってしまう。

 自分でも意味がわからない。 こんな人に落ちるなんて。 なんなら一回殺されてんのに。

 それでも止められないのが恋というものなのかもしれない。

 正直もう犬でもハニトラでもなんでもいい。

 とりあえずこの優しいなでなでが最高なので、一生しててほしい。
 

「ひまりは最近、毎日疲れてんね」

「んー……マネージャー、結構大変で」

「ふーん……辞めちゃえば?」


 優成の優しい声音に、うん辞める、と言いそうになる。

 なに、この優しいエセ彼氏。 沼る。

 
「つーかなんでサッカー部?」

「……サッカー部の彼氏が欲しかったから」

「うわ、不純」

「純粋だもん」


 不純なんかじゃない。 一切曇りなく、純粋な気持ちでサッカー部の彼氏が欲しかったんだもん。 もういまは全くそんな気なくなってしまったけど。
 

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