隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「あ、そっか。 前世で青春できなかったもんね」


 しれっと言った優成に、わたしはジト目を送る。


「……誰のせい?」

「俺か。 あはは」

「あははじゃないよ、もー……」


 呆れて言ってみせると、優成はまたははっと軽く笑った後、


「ごめんね」


 ひどく切ない目で笑った。


「え……いや……」


 急にそんな顔されると思わなくて、言葉に詰まる。


「別に……もうそのことは、イインダケ、ド」


 片言になっていくわたしに、優成がずっとあげていた口角を下げて、空気を変えた。

 それから神妙な面持ちでわたしの髪の下にそっと指を差しいれると、優しくこめかみに触れる。


「……ここ、痛かった?」


 優成はたぶん、前世でのわたしの〝最期〟のときのことを言ってる。

 殺した張本人がなんでそんな泣きそうな目で、泣きそうな掠れ声で聞くんだ。

 つられて殺されたわたしまで胸が苦しくなるって、わけがわからない。


「わ、かんないよ、すぐに意識なくなっちゃって……」

「そっか……」


 どうしても気になって、わたしはもう忘れようと蓋していた一番の疑問を、口にする。



「……なんで殺したの?」


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