隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 その問いかけに優成は、その少し濡れた瞳にわたしを映したまま辛そうに顔を歪めた。

 そしてわたしから手を離して、いつかと同じようにスゥ、と息を吸う。



 ちょうどそのとき、教室の扉がガララ、と開けられた。


「あれ、酒々井と越谷いる」


 クラスの男子が何人か入ってきた。


「なになに? なんかいい雰囲気ー?」


 そのうちの一人が茶化すように言って、皆がフゥ~とか言って盛り上げる。


「はやく着いたから席座って喋ってただけー」

 
 優成は動揺することなくのんびりした口調で言って、立ち上がった。


「なんだよつまんねー」

「はは、つまんねーってなに」


 さっきまでの空気はどこへやら、優成はあっという間に通常運転に戻っている。
 放心するわたしを残し、優成はその男子たちとゲームの話で盛り上がりながら後方の席へと行ってしまう。


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