隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 え? 二人、知り合い? なにごと?


 そこで美紗ちゃんが呆然とするわたしに耳打ちした。


「昨日、校門で先輩が酒々井くんのこと逆ナンしたらしいよ」

「ぎゃ、逆ナン!?」

「うん。 皆がいる前でしたらしくて、すごい噂になってる。 酒々井くん捕まえて『すっごくタイプ!』『彼女いますか!?』とか大きい声で言ってたって」


 そんな噂、知らなかった……

 まりか先輩、サッカー部の先輩たちだけでなく優成にまで? 一年の男子には塩対応だから年上が好きなんだと思ってた。
 まりか先輩が優成に繰り出す上目遣いと猫なで声に、白井部長とうつつを抜かしていたまりか先輩を思い出す。

 ハッとしたわたしはいすをガタンッと鳴らして勢いよく立ち上がった。

 優成が食べられちゃう……!

 すかさず歩き出そうとしたわたしの耳に、クラスメイトの男子の声が入る。


「いいなぁ酒々井。 俺もあんな可愛い先輩に言い寄られてみてぇわ」


 ……!


「あの先輩、イケメンハンターだって話題の人だぞ?」

「それでもいい、あんな美人だったら。 それになんか優しそうだしニコニコしてていい人そうじゃね?」

「うーん確かに」

「クソッお似合いだな、羨ましい……」


 お似合い? 羨ましい?

 確かに美男美女でお似合いだけど……。

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