隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 そしてまたまりか先輩の猫なで声が聞こえてくる。


「ねえ優成くん、昨日のガチャ何が出たー?」

「レア出ましたよ。 ほら」

「え~すごぉーいっ」


 まりか先輩はことあるごとに優生の腕や肩にボディタッチする。 それについて優成は気にする素振りもなく、穏やかに受け答えている。

 それを傍観していると、無償に地団太を踏みたくなってきて拳を握りしめる。

 なんで! よけないの!

 それぐらいよけられるでしょ、元殺し屋なんだから!

 てかハニトラ仕掛ける側がハニトラにハマるって! どうなの!


「ひまり。顔」

「え!?」


 勢いよく振り向くと、美紗ちゃんが目を細めて見ていた。


「見たことないくらい怖い顔してる」

「えっ」


 美紗ちゃんが手鏡を取り出して、わたしに見せてくれる。

 そこにうつりこんだのは、目を血走らせた鬼のような形相の女。


< 111 / 251 >

この作品をシェア

pagetop