隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「つーか本気で好きって、その先輩の勝手じゃん。人好きになるってそんな偉いの?」


 やっぱり優成はなぜかいつもより言葉が冷たい。
 煽られるようにして、わたしの語気も強くなる。


「人を好きになるって、それも本当に愛を持って好きになるって、簡単にできることじゃないよ。 それを尊重してあげてよ……っ」


 まりか先輩のために言ってるって見せかけて、本当は自分のために言ってるのかもしれない。

 それを見透かしてるのかいないのか、優成は乾いた笑いをこぼす。


「愛……? くだらねぇ、愛があったところで人救えんのかよ」


 顔を背けて、独り言のように言った優成の言葉の意味が、わたしにはよくわからない。


「愛ほどいらないものないよ」


 今にも泣きそうな声でそんなことを言う意味も、わからなかった。


「どういう意味……?」

「……」

「ねぇ」


 わたしは優成のシャツの裾を引っ張る。


「わかんないよ。 教えてよ」

 
 優成のことをちゃんと知りたい。 いま何考えてるのか、教えて欲しい。


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