隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 あーもう、イライラする。

 なんでも自分の思い通りになると思ってるあの先輩も、彼氏でもないのにひまりの肩によりかかっていたサッカー部のあいつも、そいつらにいいように使われる無防備なひまりも。
 なにより、こんなことで心をかき乱されている俺自身に、腹が立ってしょうがない。


『殺されたいの?』


 ……ほんとなにしてんの、俺。


 留めきれなかった苛立ちが、小さな舌打ちになって漏れた。

 これ以上苛立ちが表に出る前に帰ろうと足を速めたけど、家の冷蔵庫になにも入ってなかったことを思い出す。
 今日は朝からなにも食べていないから、さすがに食べないわけにはいかない。

 駅前のコンビニに寄ることにして、踵を返す。


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