隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
ギィ、と今にも壊れそうな音を立てて、家の玄関のドアを開ける。
ここは都会の端にある、ボロボロの木造アパートの一室。 水道の蛇口は水漏れしてピチョン、と桶に水滴を垂らしている。
……疲れた。 いろんな意味で。
歩くたびにギシギシと音がして、大地震が来たら真っ先に潰れるだろう家に俺は一人で暮らしている。
電気もつけず、疲労を放り込むようにベッドに身を投げた。
そこで、滅多に鳴らない我が家の呼び鈴が鳴った。
足音もなく家の前まで来るようなやつは、俺の知る限り一人しかいない。
「……はーい」
俺はうつぶせに横たわったまま返事をしてみる。
すると、もう一度呼び鈴が鳴る。
「あいてまーす」
そう返すと、ギィ、とドアが開けられる。
「……なぜあいてるんです?」
眼鏡をかけた、神経質そうな男がひとり。
丁番をクイッと持ち上げて俺を蔑んだ目で見下ろした。