隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「来て早々怒んないでよおじさん……」


 それにそこの鍵、あってないようなもんじゃん。


「……晩御飯、またコンビニで済ませようとしているでしょう。 台所借りますね」

「……」


 ああ、またか、とため息が漏れるけど、俺には拒否する権利がない。

 カチャカチャと台所で手際よく作業する背中はピンと伸びて、隙が無い。


「……ねえ。 隣の席、エミリア姫だったよ」


 おじさんがピクリと反応して振り返る。


「エミリア姫……? どなたですか」

「……」


 やっぱわかんないか。


「なんでもない」


 おじさんはなにか言いたそうにするけど、すぐに諦めて包丁を砥ぐ作業に戻る。


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