隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「ねぇ、おじさん」

「なんでしょう」

「おじさんは誰かを好きになったことある?」

「…………ありますよ」

「えっ」


 おじさんは感情の起伏が極端に少ない人だ。
 ないと言われる前提でした質問だったから耳を疑う。


「ほんとに?」

「ええ」

「……好きって言った?」

「いいえ」

「なんで」

「……言う前に死んでしまったので。 あなたのご両親と一緒に」

「……そっかー」


 それ以上言及する気にはなれなくて、寝返りを打つ。

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