隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 もともと女子と言うものが苦手だった。
 昔からなぜか女子に執着されることが多くて、練習中にやたら名前を呼ばれたり、帰り道待ち伏せされたりは当たり前だった。
 練習に支障が出なければなんでもいいかと、特別拒否したりしないでいたら告白されて、断ったら思わせぶりだって泣かれた。
 そのほかにもストーカーまがいなことをされたこともあって、生半可な気持ちで関わるべきではないと学んだ。

 だから、サッカー部の彼氏が欲しくてマネージャーになったなんて女子は、特に要注意人物だった。

 ほっとけば今までのマネージャー志望と同じように、どうせすぐいなくなるだろうと思っていたけど、越谷は違った。

 阿見先輩に仕事を丸投げされても、上級生に嫌味を言われても、逃げ出さなかった。
 テンパりながら、時には泣きそうな顔をしながら、それでも必死に食らいついていくのを見て胸が熱くなった。

 それでいて越谷は、そのまっすぐな明るい人柄でみんなに好かれる人間力のある人だった。
 その証拠に、最初は仲良くする気がなかったはずの一年部員全員が、今では越谷を『大事な妹』的に可愛がっている。
 この分だと今は疎遠な上級生と打ち解けるのもそう遠くない。
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