隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 俺は荷物を友達に預けて、靴と靴下を脱いでズボンの裾を捲る。


「ん? え? 朔耶、どうした?」

「ちょっと遊んでくる」


 俺は裸足で校庭に出た。
 

「えっ!? おい、朔耶……!」


 確かめたい。酒々井優成がどんなやつなのか。

 近づいてくる俺に気付いた酒々井が、感情のない目で俺を見る。


「……あ。 サッカー部の爽やかくんだ」


 酒々井の後ろで、他の男子たちが不思議そうに俺を見る。


「俺も混ぜて」


 俺はそこに落ちてた柔らかい剣を拾って、酒々井の眼前に突きつける。


「勝負しよう、酒々井」


 お前の得体の知れない部分、全部暴いてやる。

 酒々井は一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに頬を緩めて笑って、


「優しくしてくれる?」


 と、ふざけた声で首をこてんと横に倒した。

 ああ、俺こいつ嫌いだ。


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