隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 公平を期して酒々井も靴を脱いで裸足になる。


「おいおい、全員船橋くんに賭けたら賭けになんねぇだろ!」

「ギャハハ」

「よし!俺は優成に全賭けだ!一人勝ちしてやる!!」


 どっちが勝つかで食堂のプリンを賭け始める男子たちをよそに、貸してもらったバンダナを目にあてがった。
 視界は真っ暗、なにも見えなくなる。


「まさか誰かを取り合って勝負しようとか、ベタなこと言わないよねー?」


 酒々井の呑気な声が前方から放られて、イラッとして鼻の横が引き攣る。


「お前、何考えてんの? うちのマネージャーになにしたんだよ」

「あはは。 なんも考えてないし、なんもしてないよ。 そういう船橋くんは好きな子束縛したいタイプー?」


 わざとだ。 わざと煽りにきてる。


「お前、ほんとムカつく」
 
「はは、こわ」


 ……怖いのはどっちだよ。


< 163 / 251 >

この作品をシェア

pagetop