隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「つーか優成、最後船橋くんの後ろですげぇ近いとこに立ってんの面白過ぎたわ!」

「もうくっつきそうだったよな!あはは!」


 酒々井と肩を組む男子は、涙を浮かべて笑っている。


「なんかいい匂いするなーと思った」

「船橋くん嗅ぐなよ!」「あはは!」


 酒々井も一緒に笑っている。

 わからないことばかりの中、ひとつだけ分かった。


 ……わざと、負けやがった。


「あ、やべぇ、もうすぐ昼休み終わるって!」


 誰かが言って、みんな慌てて校舎へと戻り始める。
 酒々井は「足洗ってから行くわ」と他の男子に言付けして、俺に手を差し伸べた。

 みんないなくなる中で、俺はその手を取らずに怒りで声を震わせる。


「なんでわざと負けたんだよ」

「……」


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