隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

 それから授業が始まってしばらく経っても、優成は戻ってこなかった。

 もう足を洗う時間は充分に過ぎたはず。

 三田先生は忘れているのか、気にすることなく授業を続けている。

 ……隣の空席に、妙に胸騒ぎがした。

 なぜかわからないけど、このままもう優成に会えないような気がして。

 不安で、いてもたってもいられなくなった。


「っ、先生!」


 わたしは勢いよく立ち上がった。


「具合悪いので保健室行ってきます!」

「えっ、めっちゃ元気そうだけど」

「元気ないです!行ってきます!」

「お、おう……?」


 堂々と仮病を使ったわたしは、教室の外へ飛び出した。

 優成、どこにいるんだろう。 見当もつかない。

 毎日隣の席にいたはずなのに、優成のことを全然知らない。

 ていうかいま優成を見つけてわたしは、どうしたいんだろう。

 これ以上踏み込んだら、本当に殺されちゃうだろうか。



「越谷?」

「!」


 廊下の先に、朔耶がいた。


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