隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「だからっててめぇ、手を撃つなんて! 使い物にならなくなったじゃねぇか!」

「ふはっ」


 目元しか見えなくても、わかる。

 あれは、

 

「元々使えてなくね?」



 優成だ。



 
「っんの、イカれ野郎……!」


 テロリストを足蹴にして、03と呼ばれた優成はわたしの胸倉をつかんだ。


「!?」

「一人目は俺が殺る。 二人目以降は好きにして」


 優成はわたしを引きずるようにして壇上の方へと連れていく。


「お前……っ、なにしてんだよ!!」


 朔耶が叫んだ。 朔耶も優成だと気付いたのだろう。 その声には悔しさが滲んでいる。

 まるで反応する気がない背中に、わずかな希望を込めて呼びかける。


「優成……っ、優成だよね。 なに? なんで?」


 足を止めない優成は、はー……とため息をついた。

 
「最高。 やっとウザいのから解放されるわ。 あっはは」


 〝イカれ野郎〟。


 さっきテロリストが投げた言葉が頭の片隅によぎった。


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