隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
そして、舞踏会当日。
俺は初めてエミリアと目を合わせた。
「……っ」
頭が、真っ白になった。
初めて間近で見るエミリアはとても可憐で、美しかった。
柔らかそうな肌も、コンプレックスだと言うそのそばかすさえ、全てが愛おしい。
来賓の男はみな派手なアリシアを美しいと称えて夢中になっているけれど、俺の目にはエミリアしか映らない。
「エドガー? 大丈夫かい?」
「……え?」
生物学者のドリューと話している最中に突然心配されたので、何のことかわからなくて間の抜けた返事をしてしまう。
「さっきから少しボーッとしているように見えるよ」
「あ……はは、すみません。 少し疲れているのかもしれません。 大丈夫です」
ごまかすために酒を飲もうとグラスを持つと、その手が震えていた。
……嘘だろ。 もしかして俺、緊張してる?
緊張なんてものはしたことがなかったから、自分に自分でびっくりする。
仕事中だ、と自分に言い聞かせるけど、今もエミリアの視線が俺の方にあるかもしれないと思ったら、膝が笑いそうになった。
こんな情けない男に誰が引っ掛かるというんだ。
しっかりしろ、俺。