隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「っ……、」


 彼女の顔がみるみる赤くなるので、嫌でも理解してしまう。

 ……彼女は、俺を男として意識している。

 そう思ったら、身体中の血がぶわっと沸騰しそうに熱くなった。

 だめだ、取り乱すな。 エミリアを殺そうとしてる輩がそこら中にいるんだ。 一瞬の油断が命取りになる。

 やるべきことに集中しようと、邪念をなんとか追い払う。

 俺はいつものように口角をあげて、女性を口説く時に使うテクニックを繰り出す。


「……顔が赤いですね」


 俺に指摘されたエミリアが、慌てふためいてさらに顔を赤くさせているのを、覗き込むようにしてじっと眺める。


「少し外で涼みませんか」


 余裕ぶってる俺の心臓の音がエミリアにまで聞こえてしまわないか、気が気じゃなかった。


 
< 226 / 251 >

この作品をシェア

pagetop