隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 ハッと見上げた先、斜め上の部屋のテラスからこちらに向けられた銃。
 その銃を手にする殺し屋は、酒を酌み交わした時には見せなかったいやらしい笑顔を浮かべていた。

 その一瞬で理解した。 バレていたのだ。


「っ、クッソ!!」


 銃弾が四方から降ってくるのをよけながら、すぐにエミリアを抱き上げて部屋の中に避難する。


「エミリア! エミリア!!」


 大声で呼ぶも、反応がない。 息をしていない。

 急いで心臓マッサージをする。


「死ぬな! エミリア!! エミリア……!!」


 泣きながら何度も呼びかけ、必死に心臓マッサージを続ける。 いつまで経っても、エミリアは反応してくれない。

 頭の片隅では、もう意味がないことはわかっている。


 銃弾が撃ち込まれて窓が割れ、人の気配がするけど、無視する。


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