隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 わたしは、三田先生が本気で怒ったところを見たことがなかった。

 だから、こんな青筋を立てる先生の表情を見たのはこれが初めてだった。


「親に甘えてのうのうと楽しそうに生きやがって。 世の中にはお前らのクソみたいな親たちのせいで苦しい思いして死んでくやつらがごまんといるんだ。 俺たちは、この世を正さないといけないんだ」


 そこで優成が、息も絶え絶えにつぶやく。


「っ……あんた……01か」


 三田先生がニタ、と笑った。


「酒々井ぃ、お前のスキルがあればこっちのエースにしてやれたのになぁ。 残念だよ。 職務放棄して青春なんかしてるからこんなことになるんだぞ、バッカだなぁ」


 言いながら三田先生は、銃をおもちゃのようにコツコツと優成の額にぶつけて遊んでいる。

 優成の荒い息は弱くなってきて小刻みに震えている。


「優成……っ、」


 こんなになってるのに、優成はわたしの前からどかない。


「あー辛そうだな。 痛いよな。 偉いなぁ、好きな女の子一生懸命守ってあげて……。 今ラクにしてやるからな」


 チャキ、と撃鉄が下ろされる音がした。


「…………ふ」


 そのとき、優成が笑った。

 三田先生の顔が曇る。


「バカなのは先生じゃね」


 次の瞬間、


< 239 / 251 >

この作品をシェア

pagetop