隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「うっ、!?」


 三田先生が咄嗟に後ろを振り返った。

 その背中にナイフが突き刺さっている。


「ああ、やっぱりボディアーマーしてますね。 自分だけ助かろうとするとは……いやはや、ボスの風上にも置けない」


 軽やかな身のこなしでどこからか飛び降りたのは、テロリストたちと同じ格好をした長身の男の人。 やはり目出し帽のマスクをしていて、さらにサングラスをしているのでまったく顔が見えない。

 三田先生はすかさずそのサングラスの人を撃とうと身構えるけど、すぐにハッとしてこちらに振り向く。

 どこにそんな力が残ってたのか、優成は勢いよく先生の手元を蹴り上げて銃を手放させた。 続けて先生の顔を蹴りつけて倒れ込んだ拍子に先生に馬乗りになる。 そこにサングラスの人が投げた銃をノールックで左手で受け取ると、流れるように三田先生のひたいに突きつけた。


「っ、ひ……!」


 こちらからは見えない、優成の顔を見た三田先生が恐怖に顔を歪めた。


「……死ぬことは、必ずしも罰にはならないらしいよ」


 そう呟いた優成は、引き金を引かず、先生の顎を思い切り殴りつけた。


「うっ、……」


 先生がだらんと脱力した。 どうやら気絶してしまったみたいだ。

 そこで、体育館の全出入り口が開かれた。 同時に拡声器を使ったアナウンスが響く。


「こちら警察です。 校内に設置された爆弾はすべて処理、テロリストは全員身柄を確保しました。 生徒の皆さん並びに教職員の皆さん、指示に従って速やかに校庭の方へお願いします。 けがをされた方いたら教えてください」


 ようやく安心できる状況を悟ったみんなから、わぁ、と歓喜する声が上がる。


< 240 / 251 >

この作品をシェア

pagetop