隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「おっそいよ、おじさん」


 優成は気絶する先生の上からどきながらサングラスの人に向かって言う。


「申し訳ありません。 思いのほか爆弾の数が多く、処理に時間がかかってしまいました」

「もー……ほんと人使い荒い……」


 きれいな言葉遣いをするサングラスの人がサングラスとマスクをとって、わたしと目を合わせた。

 わたしもその人も、ピタ、と動きを止める。



「っ……」


 その人はハッと息を吞む。
 

「…………マートン?」

「……いえ、私は、公安部の中央地区指示役、倉敷(くらしき)と申しまして……」

「マートンだ!」

「倉敷です」

「マートンだよね!?」

「いいえ、倉敷です」


 真面目なところも、頑固なところも。


「マートン! 嬉しい!!」


 紛れもなくマートンだ!


 わたしは立ち上がって、元マートンの倉敷さんに抱きついた。


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