隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「えっ」

「すげぇ無自覚にハニトラ仕掛けてくんだもん」

「え?」


 ハニトラ仕掛けてきてたのは、優成の方では?

 首を傾げると、優成は愛おしそうに目を細めて片手で優しく抱き寄せる。


「……よかった。 ひまりが無事で」


 その温もりから、ちょっと切なそうな声から、優成のあったかい愛が伝わってくるみたいで。

 嬉しくて、ドキドキして、胸が熱くなった。


「……そうだ。 あの日の続きでもする?」

「? あの日?」


 優成は少し体を離してわたしの顔を覗き込んだ。


「……〝顔、赤いですね〟」


 そのセリフで、すぐに〝あの日〟のことだとわかる。


「〝少し外で涼みませんか〟」


 優成はそう言って、わたしの両手を握った。

 その表情は前世で見た銀髪の〝彼〟と同じそれで、体がぶわっと熱くなる。


「え……えっと、えっと、」

「ヨルゴ、フォーキー」

「え……?」

「俺の前の名前。 ヨルゴ・フォーキー」

「ヨ……ヨル、ゴ……」

「うん」


 優成は優しく笑って頷く。


「エ……エミリア、ド、ステヴナン……です」


 おずおずと自己紹介したわたしに、優成は「知ってる」とまた穏やかに笑う。


「……好きだよ」

「……!」


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