隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
事件発生
その日の授業をすべて終えて、放課後。
私は美紗ちゃんと二人、帰りの電車に乗り込んだ。
時刻は15時37分。
列車の角、ドアの近くに座る。
発車を待つ電車の中には、私たちと同じ城華学園高校の制服を着た生徒数人しか見当たらない。
みんなスマートフォンや文庫本、参考書などを手に、座席に腰を下ろして静かに過ごしている。
私たちが通う城華学園高校は、いわゆるセレブ校だ。
ここにいる生徒もみんな親が芸能人だったり大企業の幹部だったり、立派な家柄の子だったりする。
かく言う私も世界的に有名な指揮者の父と、世界的に有名なピアニストの母の元で育った。
壊滅的に音楽センスがない一人娘の私を、優しい両親は咎めることなく自由にのびのびと育ててくれて、出来上がったのがこちらの能天気。
勉強そこそこ、運動まあまあ。
容姿は可もなく不可もなく。
食べることが好きだから肉付きはいい方だけど、背が164センチと少し大きめなので、バランス的には許容範囲だと思ってる。