隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「ん。 ひまり、この駅の銀行寄るって言ってなかった?」


 美紗ちゃんの声にはっと窓の外を見ると、自分が降りる予定の丸々駅の駅名板。


「言ってた!美紗ちゃんありがとう、また明日!」


 私は急いで立ち上がって、美紗ちゃんに手を振りながら駅のホームに降りた。

 窓越しの美紗ちゃんはこちらを振り向くことなく手をふってくれてる。


 しっかり者で低体温な美紗ちゃんに、私はいつも助けられている。

 周りには正反対な二人、とよく笑われるけど、私は美紗ちゃんのことが大好きで、美紗ちゃんもなんだかんだ言っていつも一緒にいてくれている。

 ほんとに私、友達に恵まれてるなぁ。


 それから私は人の波にのって改札を出て、大きなビルに囲まれた高層ビル街に出る。

 今日私は、これから銀行に行って初めて口座を開設する。

 お父さんの同意書も入れてきたし。よしよし。

 これでいつでもバイトができちゃうぞ~……ってサッカー部のマネージャーとバイトって両立できるのかな?

 ま、いっか! なんとかなるなる~♪


 駅から5分もかからない場所にある大きな銀行の自動ドアをくぐりぬけると、中はそれなりの混み具合い。

 それでも窓口上部のパネルに表示された待ち人数はそんなに多くなくて、ひと安心する。

 番号札を貰おうとキョロキョロしているとすぐに行員のお姉さんが優しい笑顔で用件を聞きに来てくれた。

 それからスムーズに口座開設は進み、残すは通帳を貰うのみとなった。

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