隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 パァン!


「キャー!!」

 
 行内に銃声と悲鳴が轟いた。


「全員動くな!」


 どすの利いた男の声に目を向けると、天井からパラパラと何かの破片が落ちる中、窓口のカウンターの上に仁王立ちする黒づくめの男がいた。

 黒いニット帽、黒いマスク、黒いジャケットに黒いミリタリーパンツ。

 そして天井に向かって高く挙げられた右手に、黒い銃。

 強盗……!?


「通報したら殺すぞ!!」


 そう叫んで今度は壁の高い方に銃弾を撃ちこむと、またどこからか悲鳴が上がる。


「うるせぇ‼ 静かにしやがれ‼」


 強盗犯が悲鳴のした方に銃口を向けると、その場にいる全員が息を呑んで異様な空気に包まれる。

 強盗犯は息を荒げながらカウンター内の女性行員に銃口を向けた。


「おいそこの女! ここに現金ありったけ入れろ‼ それ以外の全員、動くんじゃねぇぞ‼ バカなこと考える奴は容赦なく撃つからな‼」


 強盗犯は大きなボストンバッグをカウンターの中に投げ入れて、女性行員が現金を取りに行くのを確認すると、行内全体に目を光らせた。


「……ホギャ……ホギャァー」


 隣の赤ちゃんが泣きだした。


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