隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 そこで行員の女性が、現金を詰め終わったと強盗犯を呼んだ。


「動くなよ。 通報したら殺す」


 酒々井くんにそう告げた強盗犯は、カウンターの中へと向かう。

 間も無くシャッターが閉められて外からの光が遮断されていく中、私は強盗犯が背中を向けてる隙を狙って椅子の後ろに回り込み、酒々井くんの元へハイハイしていって小声で呼びかける。


「酒々井くん、酒々井くん」


 手を挙げたままだった酒々井くんが私を見つけて目を丸くする。


「うわ。なんでいんの」


 酒々井くんは私の隣にしゃがんで同じように小声を返す。
 

「たまたまいた時に始まっちゃったんだよぉ……っ」

「ははは、姫様やたら銃と縁があるね」

「そんな冗談言ってる場合じゃないよ……! 酒々井くん、なんとかできないの? 元殺し屋でしょ!?」

「えーそんなこと言われてもなぁ。 こっち丸腰で向こう拳銃持ってるし。 俺いま普通の高校生だし」

「黒いのつけてたじゃん!手と足に!おもり!」

「え?ああ、あれ趣味」

「趣味?」

「鍛えるのが趣味なだけ」

「!?」


 私がビックリしてかたまると、酒々井くんがフ、と笑う。


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