隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
……カチッ。
「なんつて。弾切れでしたー」
そうおどけて言った酒々井くんが引き金を引いたり離したりすると、カチカチッ、と空回る音がする。
「っ……、」
力が抜けた私は、持ち上げていたお尻を再び床にペタンとおろした。
び……ビックリした……。
本当に殺しちゃうかと……。
「……あれ? おじさん? おーい」
酒々井くんが強盗犯の頬を銃の側面でペシペシ叩く。
強盗犯は反動で少し揺れるだけで、白目を向いたまま動かない。
「あー……失神しちゃった」
平然と言ってのける酒々井くんに、ただただ呆然とする。
私だけじゃない。
さっきまで誰も逆らえずに怯えるしかなかった強盗犯を今、男子高校生がお尻の下に敷いている。
みんなポカンとあいた口が塞がらないでいる。
酒々井くんは私に視線を寄越して右手を差し出した。