隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 それから酒々井くんは後ろの柱に背中を預けて、飴の袋をあけて口に含んだ。

 
「ゔぇ。 甘」


 そしてまずそうに顔を歪ませる。


「えっ、うそ! 美味しいじゃん!」

「無理。 甘すぎ。 越谷さん味覚死んでね?」

「ひどい!」

「出していい?」

「え!? だめだよ、もったいない!」


 コンビニはしごしてやっとゲットしたレア商品なのに!


「え~めんどくさ……あげるよ。 はい」


 そう言って酒々井くんは、私の顎を掴んだ。


「!?」


 透き通る赤色の飴を前歯で挟んだ酒々井くんが、グッと顔を近づける。


「……!」


 あげるって、まさか、直接……!?


 意味を理解した時には酒々井くんのキレイな顔がもう息がかかるほど近くにあって

 慌てて酒々井くんの腕のシャツを掴んで目をギュッと瞑った。


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