隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 そんなことを考えていたら先ほどのエメラルドグリーンの瞳を思い出して、胸が高鳴った。

 さっきのは、恋?

 ……違う、あんなに素敵な男性がいたらきっとどんな女性だって胸が躍ってしまう。

 きっと恋はそんな簡単に落ちるものじゃないはず。

 それにしても、彼はどうして私を見つめていたんだろう。

 もしかして、私のことを気にしてくださってる……?

 そう思って自分の姿を確認してみると、この会場の中ではあまりにも子供っぽいフリフリドレス、ハイヒールで隠せない足の甲には昔怪我した時についた傷があるし、鼻周りにはお化粧で隠せないそばかすもある。

 唯一自慢できるものといえば、お父様からもらったこの金色の長い髪ぐらい。

 素敵な女性たちが周りにいながら、こんな私のことを見初めるなんてありえないことを悟り、ため息が漏れた。

 ……それならなおさら、どうして私のことを……?
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