隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
「あの……これ、今からやるんすよね。 手伝います」

 
 船橋くんはわたしがこれからやろうとしてる業務を指さした。

 
「えっ、いいよいいよ、練習戻りたいでしょう?」

「いや、でも、」

「大丈夫! わたし今ね、船橋くんのやる気に感化されて元気もりもりになったから!」

「え……?」


 半ば強引に船橋くんを部室の外に押し出した。


「今日、船橋くんが頑張ってるから頑張ろうと思えたよ! ほんとにありがとう!」


 満面の笑みで手を振って、ドアを閉めようとノブに手をかけた。 すると船橋くんがドアを掴んでそれを阻む。


「ん?」

「こっ、越谷さん」

「はいっ!」


 船橋くんは少し言いにくそうに視線を泳がせた。


「……実は、スコア記録とかジャグ運びも全部、昨日まで俺たち一年がやってたんです」

「えっ、そうなの?」


 船橋くんはコクリと頷く。

 
「阿見先輩はずっとあんな感じなんで、これまでも何人かマネが仮で来たんすけど、みんなすぐ辞めちゃって……先輩たちはなぜか阿見先輩に甘いし、自分たちがやるしかなくて。 今日越谷さんが来てくれてすげぇ助かりました。 一年みんな感謝してます」


< 97 / 251 >

この作品をシェア

pagetop