もう遅いよ...
放課後、私と滝原くんは軽く話をしていた。

マキちゃんは、私達が付き合っていると聞いて、みいちゃんと帰ってしまった。

なんか、寂しいな…

って、ダメダメ!

今滝原くんと帰ってるんだし!

なんて思っていると滝原くんに呼ばれる。



「あの、さっ!」

「んー?」

「笠野さんのこと、名前で呼んでもいい?」



真っ赤な滝原くんの顔がとても可愛い。

こんな風に言われたら、断れないよっ…



「いいよー、紫乃ちゃんでも紫乃羽でも、しぃでも」

「じゃあ、さ、シノって、呼んでもいい?」

「え?」



身体の中がなんだか、空っぽになっていく気がした。

シノって呼ぶのは、マキちゃんだけで…

でも、滝原くんは彼氏だし…



「あっ、ご、ごめんね!しぃちゃんって呼ばせてもらっても、いい?」

「あっ、う、うん」

「俺のことも、名前で呼んでよ」

佐和(さわ)、くん」

「ん!じゃね!しぃちゃん」
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