クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「え?」

「このシミ――〝どうかしましたか〟?」

「!」


先輩の長い指が、私の脇腹あたりのワンピースをなぞる。

あぁ、そう言えばジュースを零して服が汚れたんだった。スッカリ忘れてたよ……。


「ん?」


なんか、お腹のあたりがモゾモゾする。不思議に思って見ると、先輩の指。

あれ? さっきまで違うところにあったよね?

スタートはオヘソあたり。そこから上に、ツツツと移動している。


「な、んか……くすぐったい、ですっ」

「アンタは質問に答えるだけでいい。それ以外の発言は禁止」

「ええ……っ」


カメより遅く。だけどカタツムリよりも早い動きで、先輩の指が私の体を移動する。

体の内側からジワジワ来る何かに反応して、変な汗が出てきた。


「ちょ……待って、先輩!」


ピタッ


「ここで止まっていいの?」

「え、」

「いいの?」
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