クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……っ」


私が「ストップ」と言った場所。
それは、ちょうど下着のワイヤー部分。


「アンタが指示すれば、ここから右でも左でも行くけど?」

「な、……っ」


ようするに右のバストと左のバストどっちにする?、って事⁉


「へ、変態ですよ、先輩! 一体どうしちゃったんですか!」


胸の前で、両手をクロスする。完璧なガード!

だけど先輩の指は逃げることなく、私の腕に挟まれ、なおかつワイヤーに引っかかっていた。

それにより、さっきよりももっと指の存在を認識しちゃって……カッと顔が赤くなる。


「早く質問に答える。このシミは?」

「こ、れは……ジュースを、零しちゃって」


ツツ……と、先輩の指が右斜め上に向かって動いた。ビクンと、思わず体が反応してしまう。


「やぁ……っ、な、に?」

「もっと詳しく話して。誰からもらったジュースを零したの?」

「そ、れは……」


喋りたい。喋りたいのに、先輩の指に意識が集中しちゃって口が動かない。頭が真っ白になる。
< 102 / 291 >

この作品をシェア

pagetop