クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「頬もワンピースも赤く染めちゃってさ。下着もスケスケ。――あぁ、そっか。
俺にこうされたくて、わざとジュースを被ったとか?」
「ち、が……っ」
やっぱり先輩がおかしい。
さっきまではツンケンしすぎて怖かったけど、今は――
「昨日は〝キスして〟なんて言ったくせに、今日は俺を〝変態〟呼ばわりなんて。本当、アンタって勝手だよね」
「……っ!」
蔑まれた目で見られて、ひどい言葉を浴びせられて……だけど、そんな先輩から目が離せない。
人の話を聞かない先輩の「強引な行為」に、どうしようもなく胸が高鳴る。
あぁ、やっぱり先輩って怖い。
クズすぎるくらいクズなのに離れられない。
むしろ、どんどん惹かれてしまう。
沼にハマって抜け出せない。
そうか。
先輩は底なし沼なんだ。
だから私は、先輩が怖いんだ。
このキケンな沼から、もう抜け出せないと知っているから――