クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「頬もワンピースも赤く染めちゃってさ。下着もスケスケ。――あぁ、そっか。

俺にこうされたくて、わざとジュースを被ったとか?」

「ち、が……っ」


やっぱり先輩がおかしい。

さっきまではツンケンしすぎて怖かったけど、今は――


「昨日は〝キスして〟なんて言ったくせに、今日は俺を〝変態〟呼ばわりなんて。本当、アンタって勝手だよね」

「……っ!」


蔑まれた目で見られて、ひどい言葉を浴びせられて……だけど、そんな先輩から目が離せない。

人の話を聞かない先輩の「強引な行為」に、どうしようもなく胸が高鳴る。


あぁ、やっぱり先輩って怖い。


クズすぎるくらいクズなのに離れられない。
むしろ、どんどん惹かれてしまう。
沼にハマって抜け出せない。

そうか。
先輩は底なし沼なんだ。
だから私は、先輩が怖いんだ。


このキケンな沼から、もう抜け出せないと知っているから――

< 103 / 291 >

この作品をシェア

pagetop