クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「やっぱり先輩は、そういう行為が好きなだけで……私のことは何とも思ってないんだね」
本当はね、今お風呂に入りたくないよ。
だって、さっき先輩がくれた感触をずっと覚えていたいから。
お風呂に入ると、それが消えてしまいそうで。本当に、なかった事になりそうで……嫌なの。
「先輩の、バカ……っ」
一人で寂しく入るお風呂。もちろん、お風呂を終えても広い部屋に一人きり。
さみしい。虚しいよ……。
「はぁ。……あれ?」
お風呂から出て、キッチン台にポツンとあるボールを見つける。
次にボールの近くには、おかゆを作ろうと準備した鍋と、その中に入った(先輩がシュートした)ペットボトル。
そういえば笹岡が「連絡先をラベルに書いた」って言ってたっけ。ペットボトルをグルグル回し、らしき場所を探す。
だけど、一向に見当たらない。よくよく見ると、一か所だけラベルが破れていた。