クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

きっと、ここに笹岡の連絡先が書いてあったんだろうな。なんで破れてるんだろ。


「つぎ笹岡に会ったら、謝っておこう……」


ボールへ目をやると、中には笹岡のジュースと牛肉が混ざっていて……思わずため息。先輩のためにお昼ご飯を作ろうと思っていたのに、まさか一人きりになるなんて。


「このお肉、食べられるよね? 一人で暇だし、お料理をしようかな」


髪をバスタオルで拭きながら、スマホでレシピを検索する。

お風呂から上がってしばらく経つというのに、また所々、体が熱い。その原因が「先輩に触られたから」と分かるまで、時間なんていらなかった。



𑁍𓏸𓈒



「響希様、どうなさいました?」

「……なにが」

「今まで頬が女性の手の形に赤く腫れる等、そんな事はありましたが。まさか全身ずぶ濡れでいらしゃるとは。初めての事でビックリしております」


長さのある黒い車。

その中で話す、長い髪を一つ括りにしている男性と城ケ崎先輩。
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