クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……よし、やりますか」
先輩が寝ていることを確認し、ついさっき外したエプロンを再び装着。
そして十五分後――
寝てる先輩を起こさないよう、ノックをせずに中へ入る。見ると、顔を赤くした先輩はまだ寝ていた。
「はぁ、はぁ……」
わぁ、すごい汗。冷たい湿布を貼る前に、タオルで拭かなきゃ。
その時、先輩の手がビクッと反応した。かと思えば、ゆっくりと目が開く。
「ここ、は……?」
「お家です。先輩と私の」
「……スマホ、あとタブレット」
ん? 会話成立してる?
しかも、なぜそんな物を要求するの?
あ、まさか先輩……!
「こんな状態で仕事しようとしてます?」
「どんな状態でも……しなきゃいけないのが、仕事なんだよ」
って高校二年生に言われても、まったく説得力がないよ!
タオルを取りに行く暇はないので、テイッシュで先輩のおでこを拭う。そして冷たい湿布をぺたりと貼った。