クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……ん。これって」
おかゆを食べていた先輩の手が止まる。スプーンの中にあったのは、茶色の食べ物。
ふっふっふ。小さく刻んだのに気づくことは、さすが先輩。
「先輩がジュースを注いでくれたおかげで、随分と柔らかくなりました。きっと栄養になると思って入れさせていただきましたよ、牛肉」
「……ごちそうさま」
カチャンと、食器を置いた先輩。
こらこら何してるんですか、まだ半分も残ってます。
「元気になりたいんですよね? 牛肉は元気になる食べ物の筆頭らしいですよ?」
「……じゃ、食べさせて」
眉間にシワを寄せて、さも「嫌そう」な顔をする先輩。
え、「あーん」だったら食べてくれるの? やった、ラッキー!
「にしても先輩が牛肉嫌いだったとは。驚きです」
「牛肉が嫌いなわけじゃない。嫌いなのは……」