クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……」

「……何でもない。早く食べさせてよ」


ちっ。またオアズケか。

先輩が本音を言おうとすると、頭の中のセンサーでも鳴るのかな? いつも直前で黙秘されちゃう。


「じゃあ、いきますよ。アーン」

「……ん」


ぱくっと、牛肉を食べる先輩。よしOK。

おかゆを完食した後、薬をシートから出す。先輩にとって、念願の薬の時間だ。


「錠剤……」

「まさか〝嫌い〟なんて言いませんよね?」

「……粉よりマシってだけ」


それって「嫌い」って言ってますよね?

高校生にもなって錠剤がのめないって……なんだか子供みたい。


「はぁ、起きとくのダルい……横になる」

「ちょ、肝心な物を飲んでもらわないと治るものも治りませんよ?」

「むり……」


どうやら、先輩の体力が切れたらしい。

しかも満腹になったからか、瞬時に寝てしまった。えぇ、寝つきよすぎ……。

病人が寝るのはいい事だけど、薬を飲んでくれないと。
< 118 / 291 >

この作品をシェア

pagetop