クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
ガサッ
先輩の手の中にあるもの。
それは、ペットボトルのラベル。
そこには、私が探していた笹岡の連絡先が書いてあった。
そう。
ないと思っていた探し物は、先輩が持っていたのだ。
その理由は――
「ペットボトルも牛肉も……貰った奴のことなんか忘れたらいいのに」
すると、ちょうどその時。
ガチャ、パタン
買い物に行くため、私が玄関のドアを開閉した音に気付いた先輩。
時計は、午後八時をさしている。
「……あのバカ」
そして数秒後、私のスマホが鳴る。
電話の向こうで、先輩の「帰ってこい」という恐ろしい声に怯え、私はシッポを巻いて戻って来たのでした。
𑁍𓏸𓈒