クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です


「へぇ~。男子って皆あぁいう女子が好きなのかと思ってた」

「〝あぁいう〟って、どういう? 少なくとも、あそこまでいくと逆に女子に見れねーって」

「……そう、だね」


女子とか男子とか性別の話ではなく、時山先輩はマドンナだから、神々しいのだ。もはや同じ人間じゃないから、女子に見れないという笹岡の意見は分かる。先輩の中身はアレだけど。


「ふふ、笹岡と意見がかぶるなんて思わなかった」

「どうだ、嬉しいか?」

「嬉しい嬉しい~」

「なんだよ、その言い方はよ」


愛想笑いで済ませる私へ、笹岡はわずかに体を向けた。長い足が、私の座る椅子の足にコツンと当たる。


「俺と意見がかぶって、本当に嬉しいのか?」

「ど、どうしたの笹岡……なんか変だよ?」

「丸西、俺はさ。丸西と似てる所があって嬉しいんだけど?」

「え、」


えぇ?
それは、同じクラスメイトとして気が合いそうで嬉しいってこと? それだけの事を、こんな改まって言わなくたっていいのに。


「ふッ、笹岡って変なの」

「は? 変?」
< 126 / 291 >

この作品をシェア

pagetop