クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「へぇ~。男子って皆あぁいう女子が好きなのかと思ってた」
「〝あぁいう〟って、どういう? 少なくとも、あそこまでいくと逆に女子に見れねーって」
「……そう、だね」
女子とか男子とか性別の話ではなく、時山先輩はマドンナだから、神々しいのだ。もはや同じ人間じゃないから、女子に見れないという笹岡の意見は分かる。先輩の中身はアレだけど。
「ふふ、笹岡と意見がかぶるなんて思わなかった」
「どうだ、嬉しいか?」
「嬉しい嬉しい~」
「なんだよ、その言い方はよ」
愛想笑いで済ませる私へ、笹岡はわずかに体を向けた。長い足が、私の座る椅子の足にコツンと当たる。
「俺と意見がかぶって、本当に嬉しいのか?」
「ど、どうしたの笹岡……なんか変だよ?」
「丸西、俺はさ。丸西と似てる所があって嬉しいんだけど?」
「え、」
えぇ?
それは、同じクラスメイトとして気が合いそうで嬉しいってこと? それだけの事を、こんな改まって言わなくたっていいのに。
「ふッ、笹岡って変なの」
「は? 変?」