クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「うん、変だよ」


クスクス笑うと、笹岡は毒牙を抜かれたように「はぁ~」としぼんでいった。こ、今度はなに。


「城ケ崎はいいよなぁ」

「城ケ崎先輩が? なんで?」

「……耳、貸せ」

「うん?」


もしかして、私の知らない城ケ崎先輩の「何か」を笹岡は知ってるとか? なにそれ、教えてほしい!

特に深く考えず、こちらを向いてる笹岡へ体を寄せる。ギリギリまで体をひねっているのに、笹岡ったら「もっとこっち」なんて言って……。

一番後ろの席だから良かったものの、委員長たちに見つかって注意されるのも時間の問題だ。


「もう笹岡、言うならさっさと、」


我慢の限界で近づいた笹岡の顔を見上げた、その時だった。


ちゅっ


「え、」
「あ」


前を向いた時、笹岡の顔がすぐ目の前にあって。慌てて退けようと動いたら、お互いの唇が触れてしまった。
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