クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
*城ヶ崎 響希*
*城ヶ崎 響希*
バタンッ
「急な頼みをしちゃってゴメンね?」
「頼みではなく、楽しみの間違いじゃないですか? 時山先輩」
俺にニコリと笑う時山先輩。その顔には、学校中の男が虜になる笑みが浮かんでいる。それはもちろん、俺だって――
「で、分からない内容ってのはどこですか? と言っても、先輩の方が俺より詳しいでしょう?」
「ふふ、そんなことないよ」
家で寝ている時に、時山先輩からメールが来た。かと思えば一時間もしない内に、今は先輩の部屋だ。
この行動力が、いかにも時山先輩らしい。この人は「やると言ったらやる人」だ。
けれど、俺を呼び出した理由がどうにもしっくりこない。
「先輩、さっき凪緒と一緒にいました?」