クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「なに、してるんですか……?」
「城ケ崎くんが元気になれることかな?」
「冗談でしょ……。こんなことしても、先輩には何のメリットもないはずですよ」
すると先輩の目つきが変わった。
そして「バカ言わないで」と、下から俺を睨み上げる。
「城ケ崎くんと丸西さんが婚約したのは何のため? 時山家を引きずりおろすためでしょ? そんな事をされて、私が黙っていると思う?」
「……っ」
「ねぇ城ケ崎くん、知ってる?
一番上はね、とっても眺めがいいんだぁ。その景色を一度でも味わったら最後。金輪際、誰かの下にいる事は出来ないの。
いつどんな時も、私は一番上がいい。
だって気持ちがいいんだもん。
だからこそね……
一番上にい続けるためには、どんな事だってする。だから、ほら。こうやって城ヶ崎くんより下にいる景色も、全然苦痛じゃない」
「ッ!」
俺の顔をのぞき込みながら、時山先輩は俺のシャツへ手を伸ばす。そして下から上へ順番に、プチプチとボタンを外していった。