クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「城ケ崎家をはめようとしたんじゃないですかね。婚約者がいる身で他の女性と、とか。もしくは無理やりだった、とか。次期社長が不貞行為を行ったとなれば、世論を味方につけたも同然ですから」

「ひどい……!」

「まぁ、それだけ本気だったって事ですよ。なにせ……」


安井さんはチラリと先輩を見る。

座席に転がったまま熱い息を繰り返す先輩に「量が量ですし」と、私に聞こえない声で呟いた。


「さて凪緒様。私はこれから一足先に部屋に行き、響希様を正気に戻します。

ですので凪緒様は、しばらく車内でお待ちください。時がきたら電話でお呼びしますね」

「は、はいっ」


正気に戻させるって……何をするか分からないけど、私じゃ何も役に立てないと思うから……。安井さん、先輩をお願いします!


「それでは、いってまいります」


バタンッ

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